社会企業家とSVP東京

先日、慶応大学の政策・メディア研究科の入学説明会に行ってきた。といっても本当に入学するつもりはなくて、以前からこの研究科が気になっていたので、いい機会だと思い参加してみた。


■政策・メディア研究科の印象

政策・メディア研究科の印象は、「実社会の環境をより良くする政策をITを通じて考えよう」というものだった。政策に関わるので、政治、経済、金融、IT、デザイン、都市設計、医療などさまざまな分野の知識が必要とされる。

この研究科の最大の特徴は「プロジェクト」という名の実地研究が主体であるところだろう。上記分野において、毎年300程度のプロジェクトが進行中であるとのこと。


JRの駅改札でみなさんスイカを使っていると思うが、このスイカをタッチする部分は13.5℃に傾斜している。この13.5℃と決定したのは、ここの研究科の山中先生という方らしい。スムーズな通り抜けを可能にするここの絶妙な角度が13.5℃らしい。


また「精神専門の看護士の遠隔コンサルテーション」などもやっているそうだ。この分野の看護士はまだまだ少ないそうで、ITを通じて遠隔地に住む人にも対応してほしいというニーズがあるそうなのだが、実際にやるとなると技術的なことより病院経営者をいかにして説得するかということのほうが大事であるらしい。


その他、雨傘にインターネット情報を表示させたりとか、駅の人通りで地面が揺れる力を集めて発電したりとか、本当ですかそれ?という話までいろいろと聞くことができた。


■社会企業家とSVP東京

社会企業家という言葉をご存知だろうか?社会企業家とはビジネスを通じて、社会をより良く変えていこうとする人たちのことだ。

政策・メディア研究科では試験的に「社会イノベータコース」というものを設置する予定であるらしい。社会企業家マインドを育成することを目的としているとのこと。


説明会の途中で、NEWS23の特集映像が流された。その内容は社会企業家を支援するファンド「ソーシャルベンチャーパートナーズ東京」についてであった。


HPによると、

『ソーシャルベンチャーパートナーズ東京(SVP東京)は、社会的な課題の解決に取り組むソーシャルベンチャーに対して支援を行い、新たな社会的投資を創ります。

SVP東京は2003年に活動を開始、2005年からは、革新的な事業型NPOやソーシャルベンチャーへの資金の提供と、各種の経営サポートを行っています。

SVP東京は、1)投資先であるソーシャルベンチャーのミッションの達成と同時に、2)SVPの会員であるパートナー自身が、投資協働先への支援に参画し、地域や社会への関与を通じて成長することを通じて、地域や社会のイノベーションを起こすことを狙いとしています。』


とのことで、パートナーはそれぞれ10万円を社会企業家に投資する。また、投資するだけでなく、経営についてのアドバイスをし、一緒になってビジネスの在り方を考えていく。
バートナーは、金融業、製造業、自営業の方々など多岐にわたっていた。映像の中では、一次産業である農業におけるあるビジネスについて、侃々諤々の議論が繰り広げられていた。


社会企業家と聞けば響きはいいが、ほんとうに社会に還元できるようなビジネスにするのはとても難しいと思う。しかし、SVP東京のようなファンドが存在し、複数のパートナーの視点からのアドバイスや支援があれば、飛躍的に成功する確率が高まるのではないか?

非常に興味があるので、SVP東京の活動にはこれからも注目していきたい。



慶應義塾大学 政策・メディア研究科
http://www.sfc.keio.ac.jp/prospective/aboutmag/


ソーシャルベンチャー・パートナーズ東京(SVP東京) - Social Venture Partners Tokyo
http://www.sv-tokyo.org/