試作とサル

先日、会社の食堂で昼食を取っていたときのこと。

目の前の同期の女の子二人が

「○○ちゃん、今日は試作するんだって?」
「うん、そうなんだよ〜」


という会話をしていた。たわいない食品企業における会話なわけだが、僕はそのとき、
「オレは今日はサルモネラの同定やんないとなぁ」などと考えていた。ふとそのとき、
「なんかオレの仕事ってダークだな」と思ってしまった。

いやしかし、僕の仕事は非常に重要なハズだ!僕は現在、品質保証に関係した部署にいる。そこで、サンプルが微生物汚染されていないか検査したり、もし汚染があれば対策を講じたりしている。「品質保証の根幹はオレたちが担っているんだ!」という自負もある。むしろ、非常にポジティブだと思う。内容がちょっとダークなだけで。


同期の一人は今の仕事(メーカーの研究職)についてこう言っている

「新しい知見を見いだしたり、今までになかったおいしさを付与した新商品を開発したりと、何人もの人間が協力して一つの目標を達成しようとすることに非常に魅力を感じている。」


非常にまぶしいッス(*_*)
こういう全社的一体感が僕の仕事ではなぜか感じられない。たしかにうちのグループでもみんな一致団結してサルモネラの血清型を調べたりしてるけど、そこにまぶしさはないかな。


たぶんそれは、僕の仕事が「創る」「生み出す」といった類のものではないからなんだろうなぁ、きっと。僕の仕事はむしろ「守る」とか「防ぐ」というイメージだもんな。物を新しく創るというようなメーカーの喜びは今の僕の仕事にはない。しかし、実は品質保証の仕事とは僕にとって天職なのでは?と思っている。

というのも、研究や開発では特定の商品について深く追求できるけど、やっぱりどうしても偏りがある。その点、品質保証は全ての商品について携わることができる。飽きっぽくて浮気性のオイラとしては、むしろ好都合。それに安全性を評価するのに、科学的手法や統計学的手法を用いるのも、どちらも割と得意なアプローチだし。入社するまでは、品質保証の仕事がこんなに面白いとは夢にも思わなかった。


で話は戻るけど、この前、その試作をしていた女の子と飲んだときに、
「実はあの時、サルモネラの同定をやらないとなぁ〜って考えていたんだよ」という話をしたら、
「サ、サルモネラ・・・あまり食事中に話すような内容じゃないよね」と言われてしまった。
今ではすっかり慣れてしまっていたが、たしかに入社したころは僕もそんな感じのリアクションをしていたと思う^^;


ということをグループの先輩に話した。
「僕たちの仕事って、重要なわりにあんまり共感が呼べないですよね?」と言ったところ、
「当たり前だよ。せっかく頑張って試作したのに、「こんなんじゃ全然ダメだね」とか言われるんだぜ?そりゃ、恨まれるよ。」
「うわぁ、我々の仕事ってけっこう孤独ですね?」と言うと、


「君はもっと早くその事実に気付くべきだったね」
とさ。


ヒーローはいつだって孤独なのさorz